作曲家/ピアニスト 武藤健城(イーガル)の公演情報などなど日々の白昼夢。


by takekiygalmuto

逆わらしべイーガル

おはようございます。ええ、業界風の挨拶ですね、知ってます、今はもう夜。
先週は2回ブログを更新すると思ってもない意気込みを発揮しましたが、もちろん更新は1回だけでしたね。
そんなことは想定内ですね、もう皆さん分かってきたと思います、良かった。

さて、告知です。
今週は土曜日に素晴らしいライブをするのです。先に言っておきます、素晴らしいです。

2017年3月18日土曜日
『シャンソン、タンゴ、飛び道具』
東中野 ALT speaker
19:00開場/19:30開演
出演: 若林圭子、幹丸これり、あやちクローデル、イーガル
2500円+ドリンク代

※とても美味しいお酒が飲める、
グランドピアノのある素敵なお店です!

20:00スタートと一部告知してしまいましたが、19:30スタートでした。

ということで、シャンソン、タンゴ、何だか分からないジャンルの曲など、僕は弾きまくります。
来てね。


わらしべ長者って昔話がありますよね。
ワラを持っていて交換していくうちにお金持ちになる話。
僕はね、今日は転がるように散財していったんです、逆わらしべイーガルの物語をどうぞ。

ということで、今日ですよ、今日。
9時~17時まで上下水道の工事の為、うちの水が出ないんですって。
全くなんてこったい!
そんなわけで当て所もなく僕は家を出たわけです。
モーニングを食べて、そこでかかっていた内田光子のモーツァルトのピアノソナタが本当に素敵で
うっとりしつつ、こりゃあいかんと朝からリハーサルに行きました。まぁすぐに終わるリハだったので
終わってから今度はどこにでもあるチェーン店で珈琲を飲みながら本を読んでいたわけです。
菅浩江さんの「永遠の森 博物館惑星」。再読です。
地球の衛星軌道上に浮かぶ全地球の芸術や植物を収集保存を目的とした博物館のお話なんですが、
まぁつまりSFです。
これがもう作者の数多の芸術への関心の深さがにじみ出るような素晴らしい短編集で
読むたびに美しさを共有しているわけです。
さて、本日もうっとり日がな一日、本を読んで過ごせるかと思っていたら罠。
206ページ目に罠が!


急に展覧会を見たくなった。やっているものなら何でもいい。すぐに浴びられる美の飛沫が欲しい。美和子のように気楽な立場でそれを享け、単純に喜びたい。いっそのこと今日一日はサボってやろうか…。
菅浩江「抱擁」より


ああ、僕は本を閉じてしまった!
急に展覧会に行きたくなった。何ということでしょう、SFという非現実の局地にあるような小説が
こんなにも大胆にわたくしの私生活にコミットしてくるだなんて。
しばし抗ってみたものの小説の内容も頭に入らず、負けも悟らず、最先端機器スマホなるもので美術館情報をチェキラベイベ。
オーイェア、三菱一号美術館で『オルセーのナビ派展』をやっているではないですかどうですかこれ。

ナビ派は何かというと、セザンヌが切り開いた印象派と、そのあとにズドンとやってくるフォービズムやキュビズム、抽象画への道筋の中に慎ましやかに存在する具象から抽象絵画への橋渡しをしたような、何とも言い難い、チャレンジングな画家たちのことでして、あまり見る機会は無いわけです。
あぁ、ナビ派ね、ふーん。とかも言えないくらいに見る機会もあまりなく、代表的な画家と言ってもボナール、ドニ、ナンソン。僕にとっては、へー、何にも思い浮かばないや、といった具合です。

すぐに浴びられる美の飛沫…。
これはナビ派なんじゃ。ナビ派はなんてったって預言者の意味で、この何にも無関係な本日の出来事を
勝手に運命づけるにはぴったしだな!と意気込んでしまったのです。


到着。
チケット購入。
準備オッケー。
はい、スタート。

僕にとって美術展というのは最初の何点かを見て、そして見方を考えて、もう一度見て、僕の見るスタンスを形づくるところから始まります。
そこで時間を取られるわけですが、そこから先は何に焦点をしぼればいいか、僕自身に迷いが無く見ることができるのでこれはかかせない儀式なわけで、だから今日もそれをして、あー、そんな感じか、平面の構図、んん、簡潔な線、いやいや、色彩…、リズム感、ぇと、何だかな、全然わかんないこれ何。
やべぇ!
さっぱりわかんねぇ!!!

何ていうかすごいごちゃ混ぜ感なんです。
リンゴの静物画からスタートするんですが、確かにセザンヌ的なタッチが見受けられるし、でも待って、こっちの絵は何かもはや抽象画になってんじゃねーかよ、どこだよ川!どこに川があんだよ、これか、この青いやつか。
おいおい、見方が定まらない。

こんな不安な気持ちを抱えながら進んでいく僕。
その中で最初に衝撃を受けたのがモーリス・ドニの「テラスの陽光」。
殆どオレンジ色に塗り込められた小さなキャンバスの中にどうも人らしき形が浮かび上がっている。
なんだろう、これ。具象と抽象の狭間にかろうじて立っているような危うい雰囲気。
何だか目が離せなくなってきた。
ちょっと待てよ、とさっきの川の絵を見に帰る。ポール・セリュジエの「タリスマン(護符)、愛の森を流れるアヴェン川」。
あぁ、極端に色彩だけを抽出した、何というか、対象そのものを見たときに感じた心の風景を、現実の風景に重ね合わせて折り合いをつけたような、そんなやつだナビ派。

気がついたらのめり込んでいました。
もちろん画家によって作風はまちまちで好みは色々あるけれど、基本的には伝統的な絵画の体裁を持ちつつ、そこに何か自分たちの心象風景を重ね合わせているのだ、と僕は感じました。
ルネサンス期の宗教画や日本の浮世絵、セザンヌにゴーギャン、色々な影響の上に模索を続けながら描き続けた彼ら。
息も絶え絶え、休み休み、じっくり見てまいりました。

どこかで見たことのあるような懐かしい暗さのフェリックス・ヴァロットンの「ボール」。
その中に自分が入ってしまったかのような気持ちになるエドゥアール・ヴュイヤールの「公園」シリーズ。
そして最後に待っていたのはモーリス・ドニの「プシュケの物語」という連作。
ルドン的というか、淡い色合いで描かれる神話は美しくいびつで、大変好みでした。

やっと終わった。フルマラソン並の精神疲労。美術館ってほんとに体に悪い。

さて、ちょっと絵葉書でも買って帰るかな。もしかしたら図録も買おうかな。
そんな気持ちでミュージアムショップに寄りますよね、展覧会の帰りって。
思考停止っていうのかな、こういうの。何だか財布の紐が緩むよね。

で、ミュージアムショップがですよ、


ちょっと待て。

絵葉書やばっ!!!!!!


何と絵葉書が絵画と絵画の塗り絵セット!
どゆこと!?
塗り絵ってどゆこと!?
こんなに抽象化された風景画とその塗り絵…。
手に取っちゃうよね、間違いない。

そんな調子だから、図録も買うよね、間違いない。

壁を見たら複製画がかざってあるよね。ああ、これ欲しいな、と思ったけど絵葉書と塗り絵セットになかったやつだよね。
うん、買うよね。



ということで、買ってしまいました、モーリス・ドニ「磔刑像への奉納」の複製画。

画像とか張り方分からないから気になったら調べてね。



閑話休題。

玄関入ったところにかけてみました。客人を迎えるにあたってなんてふさわしくない絵なんでしょう。
ちなみにその前にはそこにはベルナール・ビュッフェの静物画が、さらにその前には中世の人物画がかかっていて、
結局どれもそんなに客人を迎えるような絵じゃなかったので別にいいんですけど。


あーあ、上下水道工事の為に、ちょっとお出かけのつもりが、つもりつもって散財三昧。
お金がない僕です。18日のライブに来てください。キラッ







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by takekiygalmuto | 2017-03-14 19:38 | 日記