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作曲家/ピアニスト 武藤健城(イーガル)の公演情報などなど日々の白昼夢。


by takekiygalmuto

『炎に向かいて』後記。

28日の日曜日、
自由学園の明日館で

八木聖子とスワベック・コバレフスキのピアノジョイントコンサート『炎に向かいて』が開催された。

前半は、八木さん、後半はスワベックが演奏した。

演目は、八木さんがバッハ『フランス組曲第5番』グリーグ『ピアノソナタ』
スワベックがショパンの小品とスクリャービンの『詩曲 炎に向かいて』を含む小品。

そして、僕の「四手のための『舟歌』」は、前半の最後に、二人の連弾で初演された。


会場は文句無く素敵な場所なので、ウキウキだったけれど、重要文化財ということで、結構制約のあるホールで、ピアノが古い。が、それを使わねばならず、調律もボロボロ。ゲネをやってみて、本当にコンサートに耐えうるピアノなのか、と皆、不安に思う。
が、そこはプロのピアニストたち。何とか、強引にコンサートにしていた。
惜しむなれば、もっといいピアノでコンサートをしたかったけれど、致し方がない。

八木さんは的確な演奏をするピアニスト、スワベックは荒いがパワフルな演奏。
その二人に、僕は、八木さんに上のパートを、下をスワベックに渡した。
メロディーは的確に、舟歌のゴンドラを揺らす波は、スワベックに。


僕は、作曲する際、ピアノを使わない。ピアノ曲だからと言っても、手が2本しかない僕には、連弾を全部弾けない。
ということで、本番まで1週間を切ったあたりで、僕は初めて、自分の『舟歌』を聴いた。

僕は、結構、作曲をする中で一番っていうくらい手ごたえのある出来だったので、ほっとして、本番を向かえた。


直前になって、自分の曲の前にスピーチをせよ、との命令が。
しかも、日本語と英語で。

もーーーっ! どうしよー、と緊張しまくり。

僕は、スピーチが苦手だ。
特に、日本語のスピーチが苦手だ。敬語やら何ちゃらがさっぱり分からない。
案の定、何を言うべきか考えていたことが出てこないので、こっそり作っておいたメモをガン見で話す。

「・・・で、僕は、現代オンギャクを作っておりまして・・・」

的カミカミ模様炸裂で、大変だった。

英語も、モゴモゴなっちゃうし、さ・・・。


そして、初演。


もう、何か自分の曲ではなく、既成曲を聴いているような気持ちで聴けた。

ショパンは、僕がアメリカにいる時に必死で勉強した作曲家で、ショパンの曲の持つリズム、装飾音の使い方などなど、ものすごく作曲に役立つたくさんのものを教えてくれる曲ばかりだった。
そのショパンの『舟歌』をベースに曲を書くということは、
誰に何を言われようとも、ショパンがもし生きていたら何を言うだろう、というようなことが気になって気になって、遅々として進まず。
初演を聴きながら、あまり満足してもいけないが、これならショパンもちょっとは許してくれるんじゃないか、と思った。


今日になって、ショパンの『舟歌』を改めて聴くと本当にいい曲で、素敵な気持ちになる。
改めてCD化する際は、ショパンの『舟歌』と僕の『舟歌』を入れる、とかしてしまいたいな。怖いけど。

去年11月2日から1月28日まで、初演4曲を含む9曲、僕の曲が演奏された。
本当に嬉しい限りで、特にこの『舟歌』は、去年、12月31日の夜に完成した曲で、去年1年間の締めくくりのつもりで書いた。

僕が作曲をしてきた、まだ十年足らずの月日の中で、2007年は、やっとある程度満足の出来る作曲が出来た年だったな、と思えた。
『舟歌』は、誰に何と言われても、僕はすごく自分で気に入った曲。
これで、今年も作曲がんばろう!という前向きな気持ちになれたし。



今はやっと、ひと段落ついた、という気持ちでいっぱいです。
もうね、うざいくらいの、くそ面白くも無い作曲、コンサートのお知らせ日記はひとまず終了。


次は、4月13日に初演があります。2台ピアノとパーカッションのための曲です。
by takekiygalmuto | 2007-01-30 02:27 | 日記