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作曲家/ピアニスト 武藤健城(イーガル)の公演情報などなど日々の白昼夢。


by takekiygalmuto

プログラム

初の試みなんですが、10月5日の演目を事前に発表っ!


そしてチケットは・・・完売です。スミマセン


『武藤健城×菊池智恵子』
2008年10月5日
於:カーサ・クラシカ
http://casa-classica.jp/top/home.html

料金:2100円+ドリンク代
開場:18:00
開演:19:00

出演:菊池智恵子(ピアノ)、武藤健城(作曲、ピアノ、歌)、北村真紀子(ピアノ)

予約:TEL: 03-3505-8577



『武藤健城×菊池智恵子』

Program

第一部


5つの小品
あなたをはじめてみたときに
パッサカリア(新作初演)
4手のための舟歌

第二部


桜  作詞・作曲 武藤健城
野ばら 詩 ジャン・コクトー(訳・堀口大學) 作曲 武藤健城
小さなカンタータ 作詞 バルバラ(訳・武藤健城) 作曲 バルバラ
サンゴ 詩 寺山修司  作曲 武藤健城
黒い蝙蝠 詩 萩原朔太郎  作曲 武藤健城
秋の日 詩 村野四郎  作曲 武藤健城
幼年 詩 吉原幸子  作曲 武藤健城

第三部

ピアノソナタ




第一部
『5つの小品』(2004)                      
ピアノ:武藤健城
Ⅰ、Andante Ⅱ、Andantino-Agitato-Andantino Ⅲ、Presto Ⅳ、Moderato Ⅴ、Andante
今回のコンサートが決まり、楽譜の入った箱をゴソゴソ整理していたらこの『5つの小品』を発見した。アメリカではよく弾いていたけれど日本に来てからはすっかり忘れていた作品で、この頃、大きなピアノ曲をあまり書いていなかった僕は、手始めに小さな要素の積み重ねだけで曲を書いた。今弾いてみると、その頃、僕がいかにウェーベルンとバルトークに傾倒していたのかが分かる自分にとっても懐かしい作品。

『あなたをはじめてみたときに』(2006/2008改訂)        
ピアノ:菊池智恵子
大手拓次の「風のなかに巣をくふ小鳥」という詩の冒頭を題名にした曲。その詩の印象を曲にした。来年公開予定の映画では官能的な濡れ場で使われている。

風のなかに巣をくふ小鳥 ‐十月の恋人に捧ぐ
あなたをはじめてみたときに、/わたしはそよ風にふかれたやうになりました。
ふたたび みたび あなたをみたときに、/わたしは花のつぶてをなげられたやうに/たのしさにほほゑまずにはゐられませんでした。
あなたにあひ、あなたにわかれ、/おなじ日のいくにちもつづくとき、/私はかなしみにしづむやうになりました。
まことにはかなきものはゆくへさだめぬものおもひ、/風のなかに巣をくふ小鳥、
はてしなく鳴きつづけ鳴きつづけ、/いづこともなくながれゆくこひごころ。

『パッサカリア』(2008)新作初演                
ピアノ:菊池智恵子
今回の演奏会のために書き下ろした。僕は、現在チェンバロのための曲を書いていて、しかも300年以上前の調律法による、その時代の音楽を再現している。もちろん旋律や和音も300年以上前の楽譜と格闘しながら分析をし、理論を組み立ててゆく。その過程でまず突き当たった壁は、その当時の組曲がすべて舞曲の形式で書かれているということだった。全く未知の世界の壁は高く、まず、その形式を使ってピアノ曲を書いてみようと思い、この『パッサカリア』が出来上がった。
パッサカリアとは、古い舞曲の形式の一つで、手短に言えば、低音部(バス)が、同じメロディーを繰り返し奏で、その上に自由なメロディーがのる一種の変奏曲である。この曲では、最初の主題と合わせて21回バス主題が繰り返される。

4手のための『舟歌』(2006)            
ピアノ:菊池智恵子・北村真紀子
ポーランド人のピアニストの委嘱により、ショパンの『舟歌 嬰ヘ長調 op.60』をもとに、連弾用の新しい『舟歌』を書くことになった。ショパンの『舟歌』をモティーフにして新しく曲を書くということは、大変難しく、あまりショパンの『舟歌』を気にしないで書いて欲しい、と言われても、無理な話である。作曲を始めた当初は、ショパンに沿わせるような形で曲を作ってゆくか、それとも全く関係のないものにするか、作曲行為よりも自分のスタンスを明確にすることが重要になった。現代的な『舟歌』とは何か、を考え、随分昔に一度訪れたヴェネツィアのことを思った。時代は流れ、人々の生き方は変わっても、ヴェネツィアには昔と変わらぬ建物が姿を残し、そして、同じようにゴンドラが川を渡る。時代は変わっても、ヴェネツィアは変わらずにそこにあるような気がした。その印象を、曲にしてみようと思い立ち、ショパンの『舟歌』のリズムを模倣した新しい和音でのオスティナートを基盤に作曲をした。


第二部                    
歌:武藤健城  ピアノ:菊池智恵子

桜  作詞・作曲 武藤健城 
野ばら 詩 ジャン・コクトー(訳・堀口大學) 作曲 武藤健城 
小さなカンタータ 作詞 バルバラ(訳・武藤健城) 作曲 バルバラ
サンゴ 詩 寺山修司  作曲 武藤健城
黒い蝙蝠 詩 萩原朔太郎  作曲 武藤健城
秋の日 詩 村野四郎  作曲 武藤健城
幼年 詩 吉原幸子  作曲 武藤健城


第三部
『ピアノソナタ』(2008)                    
ピアノ:菊池智恵子
第1楽章   第2楽章 Moderato Cantabile   第3楽章
今年の3月、僕の作品展のために書いた。初演者は今回と同じく菊池さんと決め、彼女のために書いた。
先生から一生弾き続けていかれるピアノソナタに出会うことが出来れば、ピアニストにとってそれは何よりの宝物だ。と彼女は言われ、そして、この曲は私が一生弾いていく曲だと思う。
初演を終えてから、菊池さんが言ったその言葉が嬉しかった。そして、僕にとっても大きな意味を持った曲になった。ピアノソナタというピアノ曲の中でも最も重要な分野で曲を書くということがいかに難しく、やり甲斐のあることかを知り、今まで避け続けていたピアノソロ曲をもう一度書いてみたいと思うようになった。古典派のソナタと同じ、第一楽章はソナタ形式、第二楽章は緩徐楽章、そして第三楽章はロンド形式で書いた。
by takekiygalmuto | 2008-10-04 23:55 | 日記