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作曲家/ピアニスト 武藤健城(イーガル)の公演情報などなど日々の白昼夢。


by takekiygalmuto

最近気になる絵。

最近、杉本章子さんの『東京新大橋雨中図』という小説を読んだんですが、
もうね、この人、時代考証というか、下調べがあまりにも凄まじくて、
しかもその知識を小説の中でそのまま使うというよりは、
小説の中の時代に自分の身をおいて、その中で自然に書いているという感じ。
この『東京新大橋雨中図』も幕末から明治を生きた絵師、小林清親を主人公にした
小説なんだけど、これがね、ヤバいくらい面白かった。
こんなに生き生きとした登場人物たちが動き回る明治初期に
何か胸躍る気持ちでした。

で、この小林清親と言えば、明治時代に光線画と呼ばれる絵で人気を博した絵師。
同時代には浮世絵師、月岡芳年がいて、ちょいちょい小説の中にも出てくる。
芳年は未だに人気の衰えない画家だけれども、その同時代を生きた清親が
気になって仕方がない。
彼の代表作の一つ「東京名所図」があんまりにも美しいので、
どこかで小林清親展とかやってくれるといいなーぁ、と密かに思い始めた。
最近気になる絵。_c0077204_1501486.jpg

これが、小説の題名にもなっている『東京新大橋雨中図』。
文明開化の波が押し寄せてきた明治初頭。人々が江戸時代とのあまりの変容ぶりに戸惑う中、
江戸時代に思いを馳せながら、必死に生きていこうとする姿が見える気がする。

しかし、この光線画も次第に人気の衰えを見せはじめ、清親ポンチという漫画を書いたりしていた。
本人にとってそれが良い方向だったのかどうか…、ある種、大衆文化の中での芸術を体言した
清親の光線画。
売れなくなった後で、大衆に迎合するような方向に進んでいったことが、現在、あまり知られていない
原因なのかもしれない。
それでも、清親の光線画。美しいの。
ほら。
最近気になる絵。_c0077204_1535780.jpg


何だかどの絵を見ても正面を向いた人よりも、後姿が多い。
しかも傘で後姿すら隠れている。
絵の奥の方へと、時代を巻き戻すように進む人々の姿。
文明開化と江戸時代への郷愁が入り混じったようで、他の光線画もすごく素敵。

本物を見てみたいなー。
クリスマスプレゼントに欲しいなー、清親!って、そんなの無理だけど。笑
しかも調べてみてもあまり画集が無い。
どこかの美術館が持ってるのかな、コレクション。
調べてみよう!
by takekiygalmuto | 2009-12-16 01:55 | 日記