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作曲家/ピアニスト 武藤健城(イーガル)の公演情報などなど日々の白昼夢。


by takekiygalmuto

本を読み耽る。

忙しすぎて読書をする気にならない、という時期は過ぎて、
最近はリハーサルや稽古に行く電車の中や、ちょっとヒマな時間に
本を読んでいる。
先月までは長大なファンタジー小説かとおもいきや軍記ものだった氷の炎の歌、というアメリカの
小説を読んでいたわけですが、
今月に入ってからは思想やルポルタージュを読んでいる。


この4年に一度くらいのペースで、オリンピック並にやってくる自分だけの哲学ブーム。
哲学の本は、そんなに早いペースで読めないから、吟味して何を読むか決めるわけですが、
今回は、ルソーの「孤独な散歩者の夢想」を最初に読んだ。
世間から迫害された哲学者ルソー、最後の著書は、老いと孤独の中で、自分の正当性を美しい文章で
綴るという内容で、哲学という感じは全くなく、思想というか、むしろエッセイ。
自分の生き方の肯定、長大な言い訳という感じがして楽しかった。
ルソーは、人類史上最大の言い訳名人なのではないか、という感想。


続いて、ショウペンハウエルの「自殺について」
これまたルソー同様、何となくネガティブ。発想の元がネガティブでありつつ、
そこから生きる意味を見出そうとする。
が、しかし、全部が全部ネガティブファンタジー小説を読んでいるような楽しさで、
読み物として大変秀逸。10代の頃は、もう少し真剣にショウペンハウエルを読んだ気がするけれど、
今読んでみたら、素晴らしく面白いファンタジーのような気がした。
ただし、有効性という意味では、あまりないのかもしれない、とも思う。
これも哲学というよりは、思想な気がしました。


続いては、ルポルタージュというか何というか…
最相葉月の「絶対音感」を読んだ。
読む気はなかったけれど、貰ったので読んでみた。
この本が売れたときは、ちょっと斜に構えて読みもしなかったけど。
音楽家の持つ絶対音感とは何なのか、というようなルポなわけですが、
知り合いが答えていたり、人によって絶対音感の感じ方が違ったり、と
なかなか、絶対音感の感じ方サンプル集として面白く読めた。
自分のもつ絶対音感の感じ方と本に出てくる感じ方の相違に、ほうほう、と思ったり、
そうは言っても、あまりにも子供の頃から普通にまわりにあった絶対音感というものの存在に
目新しさもなく、全体的に新しいことを知るには至らなかった。
けれど、一般の人にとって、絶対音感というものの存在は新鮮だっただろうし、
未知の世界なのかもしれない。
これだけの音楽家の絶対音感感じ方サンプルを集めたというだけで価値があると思う。
が、しかし、後半は絶対音感の話からは大きく逸脱して五嶋みどりと五嶋龍のちょっとお涙頂戴的な
話になって終わっていったのが、全然意味が分からなかった。


そして、デイヴィッド・ヒュームの「人間本性論」
これは、何というか、ドイツ哲学のキリスト教思想を基礎にしたものに対して、
ものすごくアングロサクソン的なアプローチで、
人間の思考がどういうものか、ということを書いてある本。
ヒュームの哲学は素晴らしい。
けれど、いつもヒュームを読んだことを忘れて、一度はヒュームを読まなきゃ!って思っているのに
読み始めたら、読んだことを思い出す。
ということで今回で4回目の読了。
何度読んでも、本当に理解してるとは言えない僕ですが、これからも読んだことを忘れて、
定期的に読んでしまうと思う!

さてさて、次は何を読もうかな。
by takekiygalmuto | 2013-04-22 15:44 | 日記