作曲家/ピアニスト 武藤健城(イーガル)の公演情報などなど日々の白昼夢。


by takekiygalmuto

夏休み読書感想文

夏休みですね。
夏休みなんていつの頃から廃止になったのかってくらい、
夏休みの実感がないんですけど、一応
夏休みなんですね、今は。
夏休みといったらなんでしょう。
やはり、読書感想文ですよね。
僕は小学生の頃から、一ミリも感想のない読書感想文を出し続けて、
先生に「君の意図がわからない。」と言われ続けたのですが、
それは僕が全然主観的な感想を書かずに、これこれがこのような構造になっている、というようなことを
書き続けたからんですね。
何かの読書感想文では、何の本だったのか忘れましたが、本の粗筋と矛盾点。最後に、川で子供だけで遊ぶことの危険性への喚起など、確かにどこにも感想なるものがなかったなぁ、と思ったり、(小3のイーガル)
古今亭志ん生の口演台本の感想文なのに、古今亭志ん生の芸名の遍歴を書き続けたり、と(小4のイーガル)、
今思えば、大変攻め込んだ読書感想文になっておりました。

さて、今年の夏は一体どんな本を読んでいたのかと申しますと、
これはもう、ワールドカップですよね、サッカーですよね、スポーツですよ。
ということで、スポーツを題材にした名エッセイ集なぞ読んでました。

「肉体の鎮魂歌」という増田俊也編さんの素晴らしいエッセイ集です。
中でも、高山文彦の『遥かなる祝祭。ー吉村禎章の軌跡。ー』は、涙なくしては読み進められない、
恐ろしく人間的な苦悩に満ちたエッセイでした。
そうだった、吉村禎章は大怪我をしたんだ、そうだった…と。そして、大怪我をさせてしまったチームメイトの栄村にも苦悩があり、もう暑苦しいくらいに美しい。
この一編だけでも良いのに、どこを読んでも素晴らしいスポーツエッセイ入門書のような本でございました。
スポーツ少年少女よ、ぜひとも読書感想文に。
先生も「シブいねぇ」と喜んでくれるはず。

エッセイに気を良くした僕は、磯部涼の「ルポ川崎」を読みました。
正直、ルポルタージュとしては半端というか、体をなしていない感はありますが、
章ごと、別々の人物の視点から語られる川崎という町。
そこで生きる人々の行き場のない鬱屈感と、環境に甘んじていく姿、そこから抜け出そうとする姿、
壮絶で、規格外で、とにかく面白い。
この凄まじさに圧倒されて、久しぶりに大興奮の中、夜通し2回読んでしまいました。
これはもう、加藤詩子の『一条さゆりの真実』並に激アツルポでした。
ルポルタージュは戦いなのだと、改めて思った次第でございます。
小学生の皆さん夏の読書感想文にはぜひ、ルポ川崎を。
先生をドン引きさせてください。

さらに田口久美子の『書店風雲録』を読みました。
今はなき、池袋のリブロの書店員としてリアルタイムの80年代~2000年代を見つめてきた著者による、
書店とはいかなる場所か、そして、書店は何を成し遂げ、何を出来なかったのか、ということが書かれております。
私たちが買う本の裏側には、本を売る仕事がある、ということを考えさせられる本です。
そして、リブロという書店は、文化、いや、カルチャーを作っていた場所なんだなぁ、と良くも悪くも思いました。
本好きの皆様の読書感想文にぜひ。
きっと先生よりも君のほうが本を読んでると思われるよ!勝ち組!

そんなこんなをしていたらですね、
漫☆画太郎先生の「星の王子さま」の2巻を買おうとして、間違えて1巻を買ってしまったんですね。
ということで、改めて2巻を買い直したけれど、うちには漫☆画太郎先生の「星の王子さま」1巻が二冊あります。

1巻ラストの方にはサン=テグジュペリの「星の王子さま」にちっとも引けを取らない名台詞があります。

「いちばんたいせつなことは地上波では見れないんだよパヤオ」

何という感慨深い言葉でしょう。この言葉を引用するだけで、この夏の読書感想文は満点ですね。
話の筋は、まぁうん、凄まじくくだらない。さすがです。

最近では間違えて2冊3冊と同じ本を買ってしまうことがあるのですが、
草野原々の「最初にして最後のアイドル」という近年稀に見る傑作SF短編集を3回買ってしまった以来の出来事です。
読書用と読書用と読書用です。何で買ったことを忘れて買ってしまうのでしょう。
推し作家だから、応援だと思って、もう一冊くらい買おうかしら。
この短編集は、アイドル活動、声優、ソシャゲをSFに昇華させて、さらに宇宙をふっ飛ばすというような、
イマジネーションの突飛な飛躍に満ち満ちた、トキメキ満載SFです。読者を選ぶ本ではありますので、そこんとこよろしく。
ちなみに、「最初にして最後のアイドル」を読み終えてなぜか、桜坂洋の「さいたまチェーンソー少女」を読み直してしまいました。学校って大変。

漫画二度買い地獄に慄いた僕は、一応、家の漫画の在庫を調べてみました。
そしたら、あー、懐かしい、とか思いながら、読みまくっちゃったわけです。
萩尾望都「ポーの一族」「トーマの心臓」
中村明日美子「Jの総て」「コペルニクスの心臓」
岡崎京子「リバース・エッジ」「PINK!」
高野文子「絶対安全剃刀」「黄色い本」
などなど。

とりあえず、切りがなさすぎて1作家2作品まで、と勝手なルールを決めて読んでおりました。
ていうか、少女漫画ばっかりじゃねーか。
でもですね、改めて読み返してみると、漫画にしか出来ない表現があったりするわけです。

岡崎京子の「PINK!」は改めて本当に傑作だなぁ、と思いました。
OL的な人が家にワニを飼っている話なんですけど、この普通と不条理のアンバランスなままの同居は、漫画ならではの、
空気感だなぁ、と思いました。
小説にしてしまうと、その不条理に対しての説明が必要な部分が、絵の中に押し込まれて、不思議と違和感のない理路整然とした世界に見えてくるから不思議です。

高野文子の「絶対安全剃刀」はどれを読んでも読み終えた途端に怖くなって、読み終えるのに時間がかかりました。
人間の持つ哀しみが絵の中に溢れすぎていて、もうなんだか、ヘミングウェイを読んでいるような気分に。
絵がうまい、っていうのか、そういうことじゃないような、漫画の域にはいないというか、何というか、
とにかくやっぱり凄まじい漫画でした。
10年後くらいにまた読み返すでしょう。これまた読書感想文にはうってつけの漫画ですね。



さてそんなこんなで今は増田俊也渾身の長編ルポ『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったか』を読んでおります。
グレゴリー柔術に勝った男、木村政彦の話です。
冒頭からいきなり熱い。
猛暑に読むと、昇天してしまいそうな熱さです。
僕は『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったか』にこの夏殺されずに生き残れるのでしょうか。
サヴァイヴ出来たらまたブログを更新します。

長くてごめんね。
そしてくだらなくてごめんね。

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by takekiygalmuto | 2018-08-10 00:23 | 日記