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作曲家/ピアニスト 武藤健城(イーガル)の公演情報などなど日々の白昼夢。


by takekiygalmuto

Saxophone Tale 終了

昨日、『Saxophone Tale』が終了しましたー。
聴きに来てくれた皆さんありがとうございました☆

演目
武藤健城『浴室』for Alto Saxophone Duo
ランティエ『アンダンテとスケルツェット』for Saxophone Quartet
武藤健城『ジャズ・タンゴ』ソプラノ、朗読、サクソフォン四重奏のための

休憩

武藤健城 ピアノとアルトサクソフォンのための『ルウム』
フランセ サクソフォン四重奏のための『小四重奏曲』
武藤健城 『冬の夜ひとりの旅人が』ピアノとサクソフォン四重奏のための

アンコール
武藤健城『空に小鳥がいなくなった日』(ピアノ、アルトサクソフォン、朗読。谷川俊太郎の同名詩による)

でしたー。

自作曲について。

『浴室』
5年前くらいに書いた曲で、僕がその頃、まだ結構、現代音楽の作曲、という意識が多かった時期の作品で、かなり音もキツく重なり、重音やらかなり際どく音がぶつかる。実は、初演以降さっぱり忘れていたこの『浴室』を今回再演することになって、何と初めて聴いたのが、今回のコンサート当日のリハ。へーぇ、こんな曲書いてたんだー、と思いつつ、色々、主題の変奏をしていない部分があってもったいなくはあったけれど、自分としては懐かしく、いい曲だな、と思った。

でもね、アンケートの集計を見たら! もうびっくり! 『浴室』の人気のなさといったらピカイチで、全然「浴室、よかったです!」的感想がなかった。
やっぱり、現代曲を聴きなれていない人には、厳しい曲だったのかな、と思ったり。


『ジャズ・タンゴ』
これも5年前に書いた曲で、その際は、アルトサクソフォン1本だったものを、今回、サクソフォン四重奏に編曲し直した。
10作の連作短歌に曲をつけたもので、初演の際は、4、7、8曲目が朗読だったけれど、改めて、7曲目を歌曲にして、さらに8曲目の朗読には、効果音のようなサックスの音を入れた。
9曲目は元々ソプラノ独唱の歌曲だったものを全面改訂。かなり現代曲っぽいソロ曲にした。
他の曲も大枠はそのままに、細かい音を変えたり、引き伸ばしたり、サックス四重奏にすることによって、かなりハーモニーも響きも変わった。
練習中は、どうなることかと思ったけれど、段々と音が整理されてくるとソプラノの声も通るようになり、素敵な歌曲になったんじゃないかなー、と思う。
20分足らずの曲だけれど、何となく、小さなオペラ的な、作品になって、楽しかった。
ソプラノの山下さんがとにかく上手くて、本当に素敵だった。聞惚れちゃったなァ。

『ルウム』
これは8年前、僕が19歳の頃に書いた曲。何とアンケートの結果を見ると、ダントツの一番人気の曲だった。
聴きやすさ、派手さ、勢いのある曲なので、そういうのをやっぱり聴く人は好むんだなー、と実感。
構成は、ものすごく破綻していて、一応、大まかな構成を書けば、A-B-C-D-C-D-カデンツァ-E-A-Codaになっているけれど、10分程度の曲で、そこまで構成が入り乱れているのは、やっぱり若かったから、だと思う。
せっかく出した主題をもう少し引き伸ばして、最大限使っていけば、もっとまとまりのある曲になるのだろうけれど、
何だか、19歳の頃の僕の勢いがなくなるような気がして、このままそっとしておこうと思う。ただ、こういう聴きやすい曲をまた書こうかな、と思った。
初演も今回と同様、僕と早川貴君でして、何だか、演奏しながら、懐かしくなって、センチメンタルになってしまった。
んふふ。

『冬の夜ひとりの旅人が』
意外にもアンケート二番人気がこの曲で、奏者の人もすごく気に入ってくれた様子で、どうやら再演が早くも決まった模様。
今さら言うのも何だが6日間で書いたにしては、まぁよくできたんじゃないかな、と思った。
とにかく、テンポ変化がものすごく多い曲なので、その変化をどれだけまとめられるか、が演奏のポイントだったけれど、本番はかなり上手くいった。練習の時とは比べ物にならないほど素敵で、指揮をしながら、「あー、もうすぐこの曲終わっちゃうんだなぁ」とか思うと、嫌だったりした。
初期の『ルウム』に比べて、格段に作曲技術は上がっているし、構成もしっかりしている。
ハーモニーに対しての考え方が自分の中でまとまったのかな、と思った。ただ、『ルウム』の頃に、メロディーに力をおいていた作曲法をもう少し見直してみたいなと思った。
全体を通して、自分の初期から現在までの作品を演奏してみて、自分の推移してきた道筋や、これからの課題が見えて本当によかった。

『空に小鳥がいなくなった日』
何というか、泣かせる曲なのだけれど、一番わかりやすく、綺麗めな曲なので、人気もあった。
やっぱり難しい曲がたくさん続いた後に、シンプルなわかりやすい曲があると、聴いている人たちも安心するのだと思うし、こういう作品もたくさん作りたいな、と思う。

☆☆☆

終演後、サックスの早川君と話をしていて、今年中にもう一度くらいコンサートができたらいいなー、と思っています。
今度は、編成を小さくして、ピアノ、アルトサックス、コントラバスとかで、ジャズっぽいものとかやりつつ、クラシックもやるようなコンサートを秋か冬くらいにできたらいいな、と思ってます。


来てくださったみなさん、本当にありがとうございました!


次は、
1月28日 池袋の自由学園、明日館で開催される、アムステルダム音楽院を卒業した素敵な二人のピアニスト、ポーランド人ピアニスト、スワベック・コバレフスキと日本人ピアニスト、八木聖子のコンサート『炎に向かいて』で僕の委嘱新作『四手のための「舟歌」』が初演されますー。

2007年1月28日(日)
18:00開場 18:30開演
自由学園 明日館

前売り 一般 2500円 学生 2000円
問い合わせ 03-3922-3372(キングダム・ピクチャーズ)

(または、僕に直接お問い合わせください。)

演目
八木聖子
バッハ『フランス組曲 第5番』
グリーグ『ピアノソナタ 作品7』

連弾
武藤健城『四手のための「舟歌」』

スワベック・コバレフスキ
ショパン『ノクターン 55-2、62-1』『バラード 第1番 作品23』『エチュード 作品10-12 革命』
スクリャービン『2つの詩曲 作品32』『エチュード 8-12 悲愴』『詩曲 炎に向かいて 作品72』



よろしくです! またしても、聴きにきてください!
by takekiygalmuto | 2007-01-14 19:24 | 日記