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作曲家/ピアニスト 武藤健城(イーガル)の公演情報などなど日々の白昼夢。


by takekiygalmuto

ゴールデンウィークは。

結構、ゆっくりできました☆
松屋銀座で『エリック・カール展』をやっていたので行ってきました。
『はらぺこあおむし』とかで有名なエリック・カール。僕は何でだか、カール特製のティッシューと呼ばれるペイントを施した紙をたくさん持ってるんです。アメリカにいるときに何かのタイミングで貰ったんだけど、もったいなくて未だ使えないまま、でもエリック・カールが大好きで密かに溜め込んでます。
そんなエリック・カールの制作過程を展示してあったりして、とっても楽しかった。
かなりデフォルメしたカラフルな動物や魚の絵で知られるカールだけれども、見ているとかなり構図に関しての推敲が多く、その場の感覚で仕上げていったかのようなカールの作品は、相当綿密に考えて作っていることを知る。
他にも本人がインデペンデントアートと呼ぶ、カラフルなティッシューの屑を遣ったアブストラクトなコラージュ作品が展示してあり、今までカールはデフォルメした具象、という印象だったものが、
彼にとって重要なものが色とフォルムなんだなー、と思った。芋虫が芋虫に見えることよりも、色の鮮やかさと簡素化したフォルムがとても素敵でした。
シールとか色んなものを買って帰ってきた。そして、僕が日常使っているお茶碗は子供用のもので、はらぺこあおむしの柄がついてます♪

☆☆☆

鶯谷のキネマ倶楽部にて、友達のKayaが今月23日にメジャーデビューしたっていうことで、メジャーデビュー記念ライブ。オールスタンディングで400人くらい入ってたし、盛況で御座いました。

友達とは言っても全くジャンルの違うKayaちゃん。ていうか、ビジュアル系。
エンターテイメントとしてとっても楽しくて、初めてライブを見た俺としては、普段のKayaちゃんとのギャップにドギマギしつつも、ちょっと感動してしまった。
ビジュアル系のライブって初めて行ったけど、すごいんだねー、お客さんがみんな振りを覚えてたりして、普段クラシックやシャンソンをやっている俺にはとっても新鮮な体験でした。

☆☆☆

ポール・トーマス・アンダーソンの『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を見てきました☆関係ないけどポール・トーマス・アンダーソンって略すとPTAだね。一人でアソシエートしてる感じ♪

内容は詳しくは書かないけれど、素晴らしい映画でした。
ダニエル・デイ・リュイスがまァとにかくすごい演技を見せていて、最初から最終までほぼ出突っ張りで180分を引っ張っていく。
群像劇が得意なPTAの割に予想外に主役ひとりにフォーカスした物語。石油の狂気に取りつかれた男の物語。

ヴィスコンティの『山猫』の場をわきまえない田舎娘以来、久々に登場人物にムカついてしまった。わきまえを知らない自分を予言者だと信じて教会を作る田舎者に、何度舌打ちをしたことか。

そんな気持ちになるほど強い、よくできた映画です。
そしてとにかく音楽が良いです。
キューブリック並の音楽センス。というか映画自体キューブリック的で良かった。

エンドロール後にロバート・アルトマンに捧ぐ、ってあったのは成る程と思ったけれども。


さらにエンドロールに流れるブラームスのバイオリンコンチェルト第三楽章がこんなに美しく思えたことは無かったです。

歌舞伎を見るように爽快な映画でした。

☆☆☆

『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』
企画・製作・監督 :若松孝二

すべて実名で、連合赤軍がいかにしてあさま山荘に立て篭もったかを描く、若松監督渾身の一作!!

とにかくすごいいい映画です。若松監督がずっと撮りたかった映画ということでその気合の入り方も尋常じゃないんですが、3時間、映画のテンションが全く落ちないまま、進むその力に圧倒される。
この題名と、連合赤軍のあさま山荘立て篭もり事件を描くということで、何だか政治的な映画である、と誤解されるようなところがあるけれど、(実際に政治的な映画ではあるけれども)それよりも、いかに人は弱く、集団に左右されてしまうのか、という、人間の姿が描かれている映画だと思う。

連合赤軍は、学生運動から生まれた軍事組織で、国家、警察などの権力に対する過激集団で、委員長の森恒夫、副委員長の永田洋子を中心にした独裁組織。軍事演習と称して、銃の訓練などを山岳キャンプを張りながらしていた彼ら。実質、森と永田の独裁だった連合赤軍は、「総括」という自己反省を集団に課し、「総括」出来ていないメンバーにはリンチを加え、殺す。
その赤軍誕生から「総括」の山岳ベース事件までを刻々と追い、次々と死に追いやられる様、森と永田の独裁、そして、それを悪と思いながらも言い出せずに、赤軍メンバーとして行動してゆく人々の姿が描かれ続ける。自分を見失い、本来の目的を逸してゆく森と永田の狂気。
永田は書記長の坂口と付き合っていたけれど、いつしか森と愛し合いそれを坂口に告げる。
「私と森さんが愛し合うことは、共産主義的革命にとって一番いいと思う。」
そんな意味不明な言い訳は、ただのお笑い種だが、自己を見失い、革命と私利私欲を混同してゆく彼らの狂気を思えば、その言葉を平然と発する彼女の怖さに、笑いよりももっと危機的な怖さを感じる。
山岳ベース殺人を繰り返し、段々と内ゲバに発展してゆく中、警察に察知されないために転々とベースを移動する連合赤軍。終焉に向かい、移動した森と永田を追うように9人のメンバーが山を歩く。その途中、森と永田が逮捕されたことを知り、それでも革命を遂行するために9名は二手にわかれ下山する。4人は逮捕され、残った5人が警察に追われながらも、あさま山荘をなし崩し的に占拠し、山荘の女主人を人質に(と言っても彼らの敵は国家であり、民間人は敵と見なさないために人質ではないが、実質人質)立て篭もる。
そして、9日間の立て篭もりの末、警察の突入、逮捕。
映画はここで終わるが、これ以降の事件は周知の通りである。

いよいよ警察が突入する直前、皆が皆を鼓舞し合いながら革命を遂行し、死んでいこうとする中、最年少のメンバー加藤元久が涙ながらに言う。

「何が革命だ。これが革命か! 僕たちは勇気がなかったんだ。僕たちは勇気がなかったんだ!」


人は自分が正しいと思った道を進み、そしてそれが狂気に陥ったとき、もしもそれが集団であればあるほど、後戻りが難しくなる。
何をしたかったのか、何をするのか、ではなく、いかにしてその集団の中に埋没してゆくか。
これは連合赤軍に限った話ではない。
政治の話でもない。
僕たちが生きていく中で、何となく何も言い出せずに取り返しのつかないところまで物事が進んでしまうことがあるかもしれない。いつまでも言い出せずに、ただ集団としての物事が進み、そして、それが自分の本当にやりたいことではなかった、と言う。
それは、ただ、勇気がなかった、とは気がつかない。

勇気がなかったゆえ、集団に所属し、勇気がなかったゆえ、集団リンチに加わり、勇気がなかったゆえ、あさま山荘を占拠し、勇気がなかったゆえ、自分たちを鼓舞し正当化してゆく。
自分を綺麗に見せたいのは人の性かもしれない。

しかし、自分のやっていることに疑いをもったとき、潔く辞めるというのは、弱さではなく、強さだと思う。
そして、その強さを持つことは難しい。

人の弱さや悲しさ、その中でも懸命に自分を探し求める人間。
そういう姿を描いた作品です。

この映画は、全く政治的なメッセージを持った映画ではんく、人間の弱さや生きる意味を問いかける作品だと思う。政治的な話が嫌いな人も是非見てください。


号泣するよ。何度も!


評価:★★★★★★★★★ 日本映画史上に残る傑作です。絶対!



☆☆☆

劇中、渚ようこさんが歌う『ここは静かな最前線』も素敵だよ♪

ちなみに、あさま山荘は若松監督の別荘を使って撮影したみたいで、ものすごい勢いで壊れまくってました。そのくらい若松監督の意気込みがすごいのです。
by takekiygalmuto | 2008-05-05 17:55 | 日記